クズな君と恋したら
最後だから
パーティーの招待状
12月25日___。
窓のカーテンを開けると、そこには銀世界が映っていた。
「……わぁ」
はらはらと舞い落ちる雪が、部屋の絨毯に影を作る。
初めてのホワイトクリスマスだ……。
はぁっと手のひらに息を吹きかけて温める。
今日は、年に一度のクリスマス。
……なんて言っても、誰と遊ぶってわけでもない。
心は最近気になる男の子とデートに行ってくる、って言ってたし、なにより___。
「ほら、寒いんだからそんな薄着じゃ凍るよ」
そう後ろから声がしたかと思うと、ふわりと肩にかけられる毛布。
「もう……ノックしてって言ってるでしょ」
「ごめーん。忘れてた」
ケラケラと笑いながら、窓の外を見る私の隣に立って、雪を目で追う綾都。
「お姫さんは俺と過ごしたいってことで解釈していー?」
「勘違いしないで」
そう言って私の顔を覗き込んでくる綾都をキッと睨む。
___それもこれも、図星ってことは言わない。
「そんな怒んないでよ、こんな顔になってるよ」
綾都は、バカにするように私の顔真似をしたかと思えば、内ポケットから封筒に入った紙切れを出した。
なにこれ……?
手のひらサイズの真っ白な封筒。
「パーティーの招待状だってさ。行く?行かない?」
パーティー……?あぁ、年に一度ある、あのパーティーか。
綾都が言った通り、封筒の中には、シンプルなゴシック体で綴られたパーティーの招待状。
「これは財閥同士の交流会のようなもの……行かないわけにはいかないよ」
___そう、毎年1月という年初めに行われる財閥同士の交流を兼ねた大規模なパーティー。
実際、私も中学3年生の頃から出席している。
「えー……」
明らかに「面倒臭い」という表情をしながら、綾都がため息をつく。
「行かなくていいでしょ。なんで?行きたいの?」
今回ばかりは守れないかも、と嘆き出す綾都に「はいはい」と軽く受け流すと、私は招待状を再び封筒にしまって、机の引き出しにしまった。