クズな君と恋したら
「別に来なくてもいいよ、私、何回か参加したことあるからわかるもん」
そんなに面倒臭いなんて……。
私と一緒にいるの、嫌だったりするのかな……。
___そりゃそうだもんね、仕事だもん。
学校と一緒のように、面倒臭いなんて思うことなんて山ほどあるに決まってる。
でも、最近は綾都がいたから……楽しかったんだけどな。
綾都は私と一緒にいても面倒臭いんだ、と1人で勝手に落ち込む。
「俺、その時は夏芽のボディガードとしてそばにつくことはないよ」
「えっ……?」
思わず綾都の方に顔を向ける。
綾都は少し意地悪く笑って、私の頭に手を乗せた。
ドキン……と、心臓が大きくひとなりする。
こんな時まで、綾都の手の大きさにときめいてる場合じゃないのに。
「残念だけど、ボディガードの俺は入れないからね」
思わず口を尖らせそうになったのを慌てて堪え、「ふーん」と呟く。
そう、なんだ……。
たしかに思い返してみれば、今までのパーティーにボディガードが同行していることはなかった。
横にはどこかの財閥の御曹司がいたり、企業の社長がいたり……。
時には「婚約」なんて言葉もちょこちょこと聞こえてくるくらい。
『ここは合コンじゃないんですけど』
なんて、某企業の御曹司をキツく睨みつけてしまった長い思い出が蘇り、軽く頭を振る。
そういえば、あの時はお父様に怒られたなぁ。
「思っても口に出すな」って。
「……なに、俺がいないと不安?」
おどけたように笑いながら、私の顔を覗き込んでくる綾都。
「……そんなわけないし」
「ふーん?」
綾都と一緒にはいられないんだ。と一気に気分が沈んでしまう。