愛し、愛され、放さない
「――――百合くん。煙草、美味し?」

今朝のようにショールを二人で羽織り、煙草を吸う百合を見上げる玲蘭。

「んー、美味しい…ってゆうか……うーん…
上手く言葉で表現出来ないなぁ」

「いつから吸ってるの?」

「ん?
…………中三」

「………」

「………」

「………そ、そうなの…!?」

「うん。
ひいた?」

「あ、いや…ひいてはないよ?
意外だなと思って……」

「あんまり、良い学生じゃなかったんだ、僕。
まぁ、いわゆる…不良?みたいな(笑)」

「不良…
百合くんが…不良……
…………うーん…想像、つかない…」

「フフ…あんまり、想像しないで?
“今の”僕だけを見てて?」

過去のことなんて、どうでもいい。
玲蘭が傍にいなかった過去なんて、なくていい。

“今現在と、これからの未来”が重要で、必須だ。


「―――――そろそろ風呂入ろうか」
煙草を灰皿に潰しながら、玲蘭の頭をポンポンと撫でる。
玲蘭も頷き、手を繫いで中に入った。

お互いに身体を洗い合い、湯船に浸かる。

「……/////」

結婚して一ヶ月程。
トイレ前に待たれるのは、なんとか慣れてきたが……
これだけは、なかなか慣れない。

玲蘭は終始、顔が真っ赤だ。

「玲蘭、もうそろそろ慣れな?」
「む、無理ぃ…」

百合の足の間に挟まれるようにして、後ろから抱き締められている玲蘭。
百合は、恥ずかしくて少し俯いている玲蘭の顔を覗き込んだ。

「耳まで真っ赤だ」
チュッと軽くキスをすると、玲蘭がビクンと少し跳ねた。

可愛い……!

「玲蘭、キスしよ?」 
百合は玲蘭の返事を待たずに、玲蘭の顎を掴んで振り返させ口唇を重ねた。
そして、貪る。

「んん……ん…ぁ…」
キスの合間に漏れる玲蘭の声も息遣いも全て……取り込んでしまいたい。

そう思える程の狂愛が、百合を包んでいた。

のぼせてしまい、フラフラの玲蘭を抱きかかえる。
「ごめんね。
また、夢中になっちゃった…!」

「ううん…」

バスマットの上に座らせる。
そして身体を拭き、バスタオルを身体に巻きつけた。
自身も身体を拭いて腰に巻くと、玲蘭を抱き上げる。

「百合く…パジャマ……」
ポツリと呟くように言うと、百合は軽く口づけて「んー、キスだけじゃ…我慢できない」と微笑んだ。

ベッドに優しく下ろし、組み敷いた百合。
「もっと、キスさせてね?」

そう言って、口唇や頬、身体に吸い付いた。


熱い夜がゆっくり過ぎていき、毎日こんな風に二人の一日は終わりを告げるのだ。

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