愛し、愛され、放さない
「ん!美味しいね!」

百合が思ってたより怒ってなくて、玲蘭はホッとしたようにシュークリームを頬張っている。
微笑み、百合を見上げた。

「うん、結構イケルね。
……………あ!フッ…玲蘭(笑)」

「ん?」

「口の端!
クリームがついてる!(笑)」

「え!?」
慌てて、ティッシュを取ろうとする玲蘭。
それを百合が優しく止める。

「待って!
僕が取るから!」
そう言って、百合の顔が近づいてきた。
そして、ペロッと口の端を舐められた。

「んんっ…!」
「フフ…可愛い!」
更に口唇を寄せる、百合。
口唇が重なり、貪られる。

「んはぁ…ゆ、り…く…」
「ん…ダメ…く、ち…離さないで…」

しばらく貪り離すと、玲蘭の息が上がっていた。
「百合く…//////」
「可愛い…
ほんと、このシュークリーム甘くて美味しいね!」
百合は愛おしそうに、うっとりとして見つめていた。
 

「――――百合くん、コーヒーおかわりいる?」
空のカップを見て言う。

「んー、そうだね。
煙草、吸いたいな」
百合が言うと、玲蘭が頷き「ベランダ行こ?」と言った。

「あ、でも!
玲蘭がそれ飲み終わってからね!」

急いで飲み干そうとする玲蘭に「ゆっくりでいいよ!」と微笑み、見つめていると……

家のチャイムが鳴り響いた。

「誰だろ?
玲蘭、ここから離れちゃダメだからね?」
玲蘭が頷くと一度微笑み、冷たい雰囲気を醸し出してインターフォンに向かった。


「――――はい。
あ……」

『お届けモノでーす!』
そこには、夜野がいた。

「は?」

『ちょっと、いいすか?』

「よくないです。
お帰りください」

『だったら、明日にでも“奥さんに”渡しますけどー?』

「……………
わかりました。少しお待ちを」
通話を切り、ため息をついた。
そして呟く。

「あぁ…ほんっと…邪魔だ……」


玄関ドアを開ける。
「何ですか?」

「これ」
百合が先程渡した封筒だ。

「は?」

「シュークリーム、一つ250円なんで。
おつりです。
多めに貰うなんて、俺も気分悪いんで!」

「…………わかりました、では」
そう言って封筒を取り、ドアを閉めようとするとガンッ!と夜野が足を挟んできた。
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