愛し、愛され、放さない
「いいよって言うと思ってるのか?」
「思ってないよ。
でも、玲蘭が“真実を知れば”受け入れざるを得ないよね?」
「………」
「俺の振られた原因。
それは、俺のことじゃない。
百合のことなんだから」
「………」
「俺だって、玲蘭が傍にいれば何もいらなかったんだから」
「………」
「玲蘭を想う気持ちは、誰にも負けないよ」
黙ってしまった百合に、克広は淡々と言い放つ。
こうなることはわかっていた――――――
所詮は“嘘の塊”
だから玲蘭に異常な愛情を向け、離れないように縛ってきた。
全ては“克広に奪われないように”するために。
百合は、珍しく動揺していた。
まだ、完全には玲蘭を支配できていない。
真実を知って、克広のところに戻ってしまわないだろうか。
しかし、今の克広を押さえられるだけの言葉が見つからない。
百合と克広は、マンションに向かった。
電車に乗り、駅からマンションまで歩く。
エレベーターに乗り込み、玄関前についた。
その間、互いに一言も喋らずに。
百合が、玄関の鍵を開ける。
ガチャ……と音がして、玄関ドアが開く。
「玲蘭、ただいま」
声をかけながら、中に入る。
克広も「お邪魔します」と言い、後に続いた。
リビングのドアを開けると…………
「「え……
――――――――玲蘭!!!!?」」
玲蘭はベランダにいて、下を覗き込むようにしていた。
百合と克広の呼び声に、ビクッと身体を震わせて振り返った。
「あ…あ…
こ、来ないで!!!」
玲蘭の目は真っ赤になり腫れていて、顔も悲しみに歪んでいた。
「……………玲蘭、何してるの?」
「危ないよ?
こっちにおいで!?」
百合と克広は、玲蘭を刺激しないようにゆっくりと優しく問いかけた。
「……………さっき、愛実から連絡があったの」
「………」
「………うん」
「百合くん、愛実が言ってることは本当なの?
百合くんが話した克広くんのことは“全部”克広くんじゃなくて、百合くんのことだって」
「………」
「本当は………克広くんは“私だけを想ってくれてた”って」
「………」
「玲蘭、落ち着いて!
とりあえず、こっちに!
ね?
三人で話そう?」
克広がゆっくり玲蘭に近づき、玲蘭の手を掴んだ。
そして、支えるようにして室内に入れた。
「思ってないよ。
でも、玲蘭が“真実を知れば”受け入れざるを得ないよね?」
「………」
「俺の振られた原因。
それは、俺のことじゃない。
百合のことなんだから」
「………」
「俺だって、玲蘭が傍にいれば何もいらなかったんだから」
「………」
「玲蘭を想う気持ちは、誰にも負けないよ」
黙ってしまった百合に、克広は淡々と言い放つ。
こうなることはわかっていた――――――
所詮は“嘘の塊”
だから玲蘭に異常な愛情を向け、離れないように縛ってきた。
全ては“克広に奪われないように”するために。
百合は、珍しく動揺していた。
まだ、完全には玲蘭を支配できていない。
真実を知って、克広のところに戻ってしまわないだろうか。
しかし、今の克広を押さえられるだけの言葉が見つからない。
百合と克広は、マンションに向かった。
電車に乗り、駅からマンションまで歩く。
エレベーターに乗り込み、玄関前についた。
その間、互いに一言も喋らずに。
百合が、玄関の鍵を開ける。
ガチャ……と音がして、玄関ドアが開く。
「玲蘭、ただいま」
声をかけながら、中に入る。
克広も「お邪魔します」と言い、後に続いた。
リビングのドアを開けると…………
「「え……
――――――――玲蘭!!!!?」」
玲蘭はベランダにいて、下を覗き込むようにしていた。
百合と克広の呼び声に、ビクッと身体を震わせて振り返った。
「あ…あ…
こ、来ないで!!!」
玲蘭の目は真っ赤になり腫れていて、顔も悲しみに歪んでいた。
「……………玲蘭、何してるの?」
「危ないよ?
こっちにおいで!?」
百合と克広は、玲蘭を刺激しないようにゆっくりと優しく問いかけた。
「……………さっき、愛実から連絡があったの」
「………」
「………うん」
「百合くん、愛実が言ってることは本当なの?
百合くんが話した克広くんのことは“全部”克広くんじゃなくて、百合くんのことだって」
「………」
「本当は………克広くんは“私だけを想ってくれてた”って」
「………」
「玲蘭、落ち着いて!
とりあえず、こっちに!
ね?
三人で話そう?」
克広がゆっくり玲蘭に近づき、玲蘭の手を掴んだ。
そして、支えるようにして室内に入れた。