愛し、愛され、放さない
(マンション、いない…)

玲蘭の現在地は、よく行くスーパーを指していた。
買い物に出掛けているようだ。

何を買いに行ったのだろう。

一昨日一緒に買い物に行ったばかりだ。
何が必要なのだろう。

そんなことばかり気になる。

本人に確認しようとすると、課長に声をかけられ仕事を頼まれた。

結局聞けないまま、あっという間にランチの時間になった。


ランチは、近くの定食店に行っている百合。
玲蘭に初めて出逢った、定食店だ。

いつも端の席に座り、一人で食事をする。

玲蘭に出逢うまで、スマホを扱いながら食事をするなんて考えられなかったが、今では毎日食事をしながら玲蘭とメッセージをやり取りをしている。

【玲蘭、今何してるの?
僕は今からランチだよ】

早速メッセージを送る。

〚お仕事、お疲れ様(⁠⁠^⁠‿⁠^⁠)
私も今、お昼ご飯食べてるよ!〛

【そっか。
ちなみに何?】

〚焼きそばだよ☆
しかも、目玉焼きのせ♡〛

【僕は、シャケ定食だよ!
今日午前中、何してたの?】

〚お買い物に行ってたよ〛

【何を買いに?
一昨日、買い物行ったでしょ?
何が足りなかったの?】

〚洗濯洗剤だよ。
今日午前中に洗濯したら、なくなっちゃって…
買い置きがあったのすっかり忘れてて、慌てて買いに行っちゃったの〛

「なんだ……そうゆうことか…」
思わず、声に出た。

【戸棚を確認しなって、いつも言ってるよね?
洗剤とか消耗品の買い置きは、そこに揃えてるって言ったよね?】

〚うん。ごめんなさい〛

【次からは、一度僕に聞いてからにしな?
もし必要なものがあるなら、僕が帰りに買って帰ってもいいし】

〚うん、そうだね〛

玲蘭が“自分がいない時に”買い物に行かなくていいように、常にストックを確保している百合。

抜かりはない。

これも全て、玲蘭を“一人で外に出さないため”

玲蘭が外に出る時は“僕が一緒の時だけ”


そんな思いで、玲蘭に言い聞かせたのだった。
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