愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
一部マニアしか知らないが、実は高級レストランを一店舗ほど経営している。
メインの定食屋ともファミレスともまったく違うコンセプトで、高級志向に走った店だ。
とはいえ経営理念からまったく外れているわけではなく、「お腹いっぱい食べられるようになったら、今度は本物も知ってほしい」というわけでできた。
宣利さんが言うとおり評価も高く、それこそVIPにも愛用していただいている。

「いや、でもあれは規格外なので……」

視線をお皿の上に戻し、無駄にフォークへパスタをくるくると巻いた。

「規格外でもお義父さんが経営している会社の店には間違いない」

「そう、ですね……」

父はあの店を〝特別な店〟と呼ぶ。
人生の節目の特別な日に目一杯おめかしして使う、そんな店にしたいといつも言っていた。
その思いからはここへの出店は外れる気がしていた。

「それに、ここに入っている店と同じ経営のファミレスとなれば、話題になる」

パスタを巻き続けていた手が止まる。
そうか、宣利さんは父の会社の今後を見据えて言ってくれているのか。

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