愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
送っていくというのに、これ以上迷惑をかけるわけにはいかないからと母はひとりで帰っていった。

「……どうなってるんでしょう?」

母を見送りながらため息が出る。
父の会社も安泰、私たちも幸せでこれからいいことばかりだと思っていた。
なのに現実は、これだ。

「大丈夫だ、きっとなにかの間違いだよ」

宣利さんが私の頭を軽くぽんぽんする。
それだけで安心できるのって、やっぱり愛の力なのかな……。



それからすぐに、宣利さんは父の会社が断られた理由を調べてきてくれた。

「横やりを入れられ、別の企業に決まったらしい」

仕事から帰ってきた彼が、ネクタイを緩めながら教えてくれる。
それを寝起きで、ベッドから起き上がって見ていた。

「そうなんですか……」

父の会社よりもいい条件の店が見つかったんなら、仕方ない……よね。
残念だけれど。

「ただ、変なんだよな」

ベッドに腰掛けた宣利さんが私に口付けを落としてくる。

「どんな店なのか聞いても曖昧に答えるばかりではっきりした返事がない。
あれは絶対、なにかあるな」

彼は苦々しげだが、なにかってなんなんだろう?

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