愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「だろ!
話もらったときから足を棒にして探しまくったからな!」

弟は自慢げだが、それはよくわかる。

「よくやった、隆広!」

弟の肩をバンバン叩き、労う。

「へへ、姉ちゃんに褒められた」

弟は照れていて、いくつになっても本当に可愛い。

「これでオープンも安心だね」

「だといいんだが……」

父はいつまでも心配していておかしくなってくる。

「お義父さん、安心してください。
皆さん、高評価でしたよ。
きっといい口コミが広がって、連日満席間違いなしです」

力づけるように宣利さんが頷く。

「そうですか。
ありがとうございます」

それでようやく安心できたのか、父はほっとした顔をした。

結局、予約受付を開始して数分でプレオープンの日もグランドオープンの日も満席になった。
その後も予約枠は争奪戦となっているようだ。



父の店も無事にオープンし、私たちの結婚式の日がやってくる。

「準備できた?」

もう着替えを終えた宣利さんが、控え室に顔を出す。

「ああ、綺麗だ……」

ドレス姿の私を見て、眼鏡の向こうの目が細められる。

「あまりに美しくて、何度でも求婚したくなる」

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