愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
しばらく見つめあったあと、降参だといわんばかりに彼はため息をついた。

「わかったよ、席を準備してもらう」

私に口付けし、宣利さんが典子さんのほうへと向く。

「姉さん、騒ぎを起こしたり、花琳や花琳のご家族、友人をバカにする態度を取ったら、すぐに叩き出しますからね」

「私って信用ないのね。
でも、今までがそうだったからなにも言えないわ」

大丈夫だと典子さんが頷く。
よかった、彼女を招待しなかったのは私の中で小さなしこりとなっていた。
これでなんの憂いもなく、宣利さんとの愛を誓えそうだ。

少しのトラブルはあったが、式は問題なく始まった。
披露宴は中のレストランだが、式は中庭でおこなわれる。
時期の秋薔薇が咲き乱れ、会場はいい匂いが漂っていた。

「凄い音」

参列者が空を見上げる。
そこには爆音を上げて急上昇していく戦闘機が見えた。
今日は近くの基地で航空祭が開催されている。
なぜわざわざそんな日を選んだのかといえば、理由がある。

神父に扮した、オーベルジュのスタッフの前にふたり並び、式が始まる。

「羽島花琳を妻とし、永遠の愛を誓いますか」

「はい、誓います」

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