愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
しばらく待ったが既読にはならない。
とにかく早く、この気持ち悪いお金の説明をしてもらわないと落ち着かない。
そわそわしながら返事を待っていたら一時間後、ようやく来た。

【間違っていない。
妥当な金額だ。
なお、返却不可】

「返却不可ってさー」

本当に間違っていないんだろうか。
宣利さんの性格からいって、間違っていてもこのまま押し通そうとしている可能性も考えられる。
しかし、返却不可と言われたらこれ以上、どうにもできない。

「ううっ、受け取るしかないのか……」

あの人は本当に、なにを考えているんだろう?
でも、もう縁は切れたんだし、気にしない、気にしない。

夜になり、父が帰ってくる。

「ただいまー」

「おかえりー」

キッチンから顔だけ向け、返事をした。

「いい匂いがしてるなー」

「今日は肉じゃがだよー。
おかーさーん、おとーさん、帰ってきたー」

「はーい」

すぐに二階から母の声が帰ってくる。
母は父よりも一時間ほど前に帰ってきていた。
洗面所へ手を洗いに行く父を横目に、最後の仕上げをした。

「ごめんねー、花琳ちゃん。
作ってもらって」

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