愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
キッチンへ来た母が炊飯器を開け、ご飯をよそってくれる。

「いいって。
置いてもらってるんだし、これくらいしないとね」

笑って私も料理を並べていく。
今の私は長いお休み中だ。
父の仕事を手伝わせてくれと帰ってすぐにお願いしたが、今まで大変だったんだろうからしばらくはゆっくりしとけと父に言われた。
とはいえなにもしないのは性にあわず、毎日食事を作らせてもらっている。

家族三人が揃い、夕食がはじまる。
ちなみにふたつ下の弟は宮崎牛に惚れて宮崎に拠点を置き、買い付けの仕事をしているので滅多に帰ってこない。
てか、宮崎牛を買い付けるためだけに子会社まで興した彼を、我が弟ながら尊敬する。

楽しく食事をしながらふと思う。

……宣利さんはちゃんとごはんを食べてるのかな……。

あの人には私と結婚する前、サプリメントだけで生活していた疑惑がある。
離婚して私がいなくなって、またあの生活に戻っていないだろうか。
せっかく、顔色もよくなったのに。
早く再婚して……再婚。
再婚、かぁ。
あんな大会社の御曹司だし、そのうちそれこそしかるべきお嬢さんと結婚するんだろうな。
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