愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「大丈夫ですよ。
もうだいぶ、治まりました」
「なら、いいが」
ようやく安心してくれたのか、彼はほっと息をついた。
「お腹、空いてないか?
夜も食べてないし、昼もほとんど食べられなかったんだろ」
「そう、ですね……」
言われればお腹が空いていた。
けれどこんな時間に食べるのはどうかと思う。
「なんか食べるものを用意する。
ちょっと待ってろ」
「あの!」
止める間もなく宣利さんは部屋を出ていった。
「なん、だろ」
ぽすっと枕に頭を預ける。
復縁してからというもの、とにかく彼は私に甘い。
前の生活が嘘みたいに、なんでもしてくれる。
なんでだろう?
きっと自分の子供を妊娠しているから、っていうんだろうけれど。
「お待たせ」
少しして宣利さんがトレイにミニ土鍋をのせて戻ってきた。
「そのままでいい」
ベッドから降りようとした私を彼が止める。
トレイは脚付きだったようで、ベッドにいる私が食べやすいようにセットしてくれた。
「おじやにしたが、よかったか?」
蓋を開け、彼がよそってくれるけれど。
「どうかしたのか?」