愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?

「大丈夫ですよ。
もうだいぶ、治まりました」

「なら、いいが」

ようやく安心してくれたのか、彼はほっと息をついた。

「お腹、空いてないか?
夜も食べてないし、昼もほとんど食べられなかったんだろ」

「そう、ですね……」

言われればお腹が空いていた。
けれどこんな時間に食べるのはどうかと思う。

「なんか食べるものを用意する。
ちょっと待ってろ」

「あの!」

止める間もなく宣利さんは部屋を出ていった。

「なん、だろ」

ぽすっと枕に頭を預ける。
復縁してからというもの、とにかく彼は私に甘い。
前の生活が嘘みたいに、なんでもしてくれる。
なんでだろう?
きっと自分の子供を妊娠しているから、っていうんだろうけれど。

「お待たせ」

少しして宣利さんがトレイにミニ土鍋をのせて戻ってきた。

「そのままでいい」

ベッドから降りようとした私を彼が止める。
トレイは脚付きだったようで、ベッドにいる私が食べやすいようにセットしてくれた。

「おじやにしたが、よかったか?」

蓋を開け、彼がよそってくれるけれど。

「どうかしたのか?」

< 92 / 194 >

この作品をシェア

pagetop