涙空
・哀しみの空
 見上げた空。飛行機雲が、緩やかに交差していた。





 茜に染まる空は、影を、遠く、遠く向こうへ伸ばしていた。





 夕日の沈む反対の空には、薄く光る星屑達が輝いていた。





 星達は、きっと孤独な空間で、寂しいのだろう。





 ふと、そんな気持ちになった。






 この目に映る世界は、両親が死んでから、一八〇度変わった。





 今まで光って見えていた物が、目の前から消えたり






 今まで掌にあった物が、それは心の空洞に変わったり。






 結局人は、独りなのだと。日々普通に生きるだけで、それは募るばかりだ。






 分厚い天文学の本をなぞる。本は焦げ痕がついていて






 血が、はっきり残っていた。






 それを見るたびに、胸の奥が、苦しくなった。





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