涙空
・始まりの空
今日、ニュースで流星が見えると言われ、自宅付近の河川敷へ向かった。
誰も居ないと思って行ったが、人影があって驚いた。
私に気づいたその人は、空に視線を戻し、悲しげに見つめた。
思わず、声をかけてしまった。
優しい声だった。容姿は整っていて、髪の毛が綺麗だった。
瞳の奥だけが、黒い色をしていた。
目を合わせるのが怖かったが、そんな思いも、流星が見えて消えた。
「凄い」
その人は呟いた。目が、黒は消えて、光に満ち溢れていた。
「綺麗」
思わず声を上げた。泣きそうになるくらい、綺麗な星だ。
そう思ったとき、涙は溢れていた。