涙空
 とてつもなく大きな黒板で、机にはパソコンがついている。






 今年できたばかりの学校だったから、全てのものが綺麗だった。






 自分の席は、一番後ろの窓際の席。






 校庭のすぐそばには、大きな桜が咲いていて、枝が触れられる場所にあった。






 担任の合図で、ホームルームが始まった。







「岸田 護君」






「はい」






 出席が始まった。時間がかかりそうだ。






「愛川 春さん」






「はい」






 隣から、澄んだ声が聞こえた。桜に目を奪われていたので、気がつかなかったが、






 彼女は、あのときの人だった。

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