涙空
「よろしくお願いします」






 彼女は小さな紙を渡してきた。






「こちらこそ」






 青い紙に書いて渡した。






 まさかの隣の席だ。何故か心臓が飛び出しそうなくらい鼓動が早い。






「はい、じゃぁ、自己紹介します。名前と、趣味と、夢を言ってください」






 担任が言った。背筋が冷たくなる。






 このイベントで馬鹿にされ、いじめられた。






 一番の人から、順番に言い始める。






 カ行なので、順番はすぐに回ってきた。






 決心した。新しいスタートに、迷いはいらない。






「岸田 護です。 趣味は天体観測。 夢は天文学の学者です」






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