涙空
 みんなと同じ拍手が出て、安心した。






 席の順番で発表したので、次は彼女だった。






「愛川 春です。 趣味は音楽。 夢はミュージシャンです」






 輝いていた。今わかったことだけど、ほかの女子には申し訳ない。ごめん。






 彼女は、ほかの女子とは比べ物にならない。綺麗すぎた。






 愛川 春。 もう一度名前を心の中で繰り返した。






 胸の奥が 少し苦しくなった。






 何故だろうか






 曖昧な感情が中を舞う。






 桜の花びらが、舞い降りてきた。






「綺麗だね」






 小声で彼女がつぶやいた。





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