涙空
 空は薄黒く、胸の奥が苦しくなった。






 小さなざわめきは胸の奥を包み、苦しさに変わる。






 体育の時間。天文学の分厚い本は教室においてきてある。






 体育の時間。珍しく、イジメグループはいなかった。






 体育の時間は積極的に参加する彼等がいない。






 隠された。不意にそういう思いがよぎった。





 体育館から走って教室へ向かう。






「そんなに急いでさ~どこいくの? 護ちゃん」






 イジメグループの一員が話しかけてきた。






「本・・・・どこだ」






 薄ら笑いを浮かべ、殴りかかってきた。






「焼却炉に入れるんだよ! きったねーゴミは処分しないとな」






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