煙草を吸う女

「いや、ジュース買いに来て。俺煙草吸わないんすよ、うまいっすか？」
「うまいもなにも、これがわたしの生命維持装置だから」

　これがないと生きていけない、それが本当ならかなりのヘビースモーカーだ。

「重症じゃないっすか」
「でしょ。吸わないのに入ってきたの？」
「そうです、先輩と話すならって」
「真面目だなあ。別にいいのに」

　薄く笑って、灰皿に煙草を潰すと未だ煙が上に昇っている。俺はまるで一目ぼれしたかのようにぼんやりと沢口さんを見た。その子馬鹿にしたような笑顔もどこか擦れていて惹かれる。こんな経験初めてである。どきどきと胸は高鳴って、体温がかっと上っていくような弾けた感覚。

　今まで普通に会話してたのに。どうしてたっけ。