そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
 今朝は出社が何となく恥ずかしかった。
 
 昨晩、あんなことがあったのだ。
 道行く人たちをぼんやりと眺めながら、あの人もこの人も経験しているの?なんて考えて。
 みんな、あんなすごいことした後も、平気で仕事でいるの?とか。

 妊婦さんとすれ違った時なんて、世間の人たちに『私たちしましたー』ってアピールしてるみたいで、恥ずかしくないの?
 なんて、まるで小学生みたいな発想をしたりして、顔を勝手に赤くして。

「お、はっ、よっ!」

 いきなり肩を叩かれて、ビクンとしてしまう始末。

「わっ!!」
「なーに考えてたの?」

 はっ!?
 増々赤面が止まらない。

「何よぉ。赤い顔して。まさか、涼介とやっちゃった?」

 ひっ!

 相変わらず、この人は鋭い。
 でも、誤魔化さなければ。

「お、おはようございますっ。今日はちょっと風邪ぎみで、熱があるのかな」

 わざとらしく額に手をやる。

「またまたぁ。焼けちゃうな」

 やっぱり無駄な努力だったみたい。
 他人ならいざ知らず、お姉さんにその話はちょっと。などと思ったのは私だけみたいで。

「あれで彼、案外情熱的だからねぇ」

 ニヤニヤして何を考えているんですかっ!

「止めて下さいっ。そんなんじゃありませんよっ」
「ちょっと悔しいなぁ。原田先生は奥手だし」
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