そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
「先越されちゃったわぁ」

 朝っぱらからなんて会話をするんですか?
 飯倉さんともあろう人が。
 
 いつも理知的で清楚な飯倉さんがこんな話を堂々とするなんて意外だった。
 人は見かけによらないものだ。

「ねぇ、コーヒー飲んでかない?」
「でも時間が」

 あと十分で始業時間だ。

「平気、平気。会社には二人で外出って連絡しとくから」

 飯倉さんとはゆっくり話をしたことがなかったから、いい機会かも知れない。将来お姉さんになるのだし。

「部長権限ですね」

 そうよ。とばかりに私にウインクすると、飯倉さんはスマホを手にしたのだった。

 さすがにオフィスの近くではまずいと言うことで、大使館近くのカフェまで行った。
 カフェテラスも気持ち良さそうだったのだけれど、二人でのんびりお茶していたとなるとまずいから、私たちは室内を選んだ。
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