そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
 それぞれに、カフェオレと、ブラックを注文する。

「それで、さっきの話の続きなんだけどね」

 本当に意外だった。飯倉さんとは仕事の話はしたことあるけれど、プライベートの話はしたことがない。
 それを、向こうから積極的にしてくるなんて。

「原田先生とはいつ頃からお付き合いされているんですか?」

 まずは、当たり障りのない所から。
 涼介さんに結婚することは聞いていたけれど、ここは知らないフリ。

「うちの顧問弁護士じゃない。だから顔は知っていたし、時々会議で顔を合わせることはあったのだけど、親しくなるきっかけは、例の角紅商事よ」

 やっぱりそうだったのか。
 涼介さんが教えてくれた通りだった。

「二人で遅くまで、あーでもない、こーでもないって毎日話していたら、食事に誘われてね」

 うんうん。

「どちらともなくって感じかな」
「へー、なんか大人の恋って感じですね」
「そう?」
「言わなくても分かるみたいな」

 だって涼介さんは、変な小芝居打ってきたから。

「あはは、笑っちゃうわよね。ぶっちゃけあいつ、今まで彼女がいなかったわけじゃないのに、なんなら相当な女子と付き合ってきたくせに」

 そうなんだ。
 じわっと塊みたいなものが込み上げてくる。

 分かってた。あれだけの人だもの。沢山彼女がいたことくらい。
 むしろ、彼女いない歴三十二年のほうがおかしい。
 
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