そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
 でも、こうしてはっきり言われると、ちょっとズキンと心が痛む。
 
 私が男の人と付き合った経験があれば、この気持ちも感じ方も違うのかな?

「失いたくなかったからかな。吉永さんを」

 私はカップを置いて次の言葉を待った。

「一度、あなたを失ってるから」

 しんみりと言われて、私の心がトクンと鳴った。

「でも、”うどん”はないわよねぇ」

 ケラケラと飯倉さんは笑う。

「もっといい考え浮かばなかったのかしら。あいつらしくもない」
「教えてもらった時は、そのダサさが私っぽいって思ったんですけど」
「もっと自分に自信を持ちなさい。あなたはダサくなんてないんだから。どうせならもっとドラマチックな出会いが良かったでしょう?」

 …そうでもないかも。
 どんな出会いでも彼に愛されるのなら構わない。
 そんな風に言ったら。

「いや~、熱いったら。若い子の恋って新鮮で初々しくっていいわね。私くらいになると、もうそんな気、起きないから。とっととしてくれ。って感じ」

 してくれって。
 想像してまたもやカーッと顔が熱くなる。私はそんなセリフ言えない、絶対に。
 
「飯倉さん、恋愛上級者なんですね」

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