そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
 彼が話終わると、個室のドアが少しだけ開いた。

「お邪魔?」

 飯倉さんだ。

「入れよ」

 そっけなく涼介さんが答える。

「何よその言い方。私だって吉永さんの心配してたんだから」
「ご迷惑をおかけしました」
「あ、動かなくていいわよ。そのままで」

 彼のお姉さんにこんな格好見せられないとは思いつつ、体が痛くて動かせないから今回は許してもらおう。

「ここ、飯倉さんのご両親の病院ですよね。ご迷惑をお掛けしてしまって」
「いいのよ。病人を見るのが医者の仕事だもの」
「で、いつからそこに居たんだ?」
「ちょっと前から。とってもいい雰囲気だったから遠慮したのよ」

 わっ、見られていたの?恥ずかしい。

「で、どれくらい掛かるって?」
「骨折や靭帯損傷がなければ、完治まで概ね一か月ってとこみたい。明日検査するって」
「そうか」
「で、どうするの?」
 
 話が私に振られて慌てる。

「どうするとは?」
「刑事告訴するかどうかよ」

 あ…そのこと。
 私は意識を失てしまったから分からなかったのだけれど、あの後警察が来たらしい。

 例の男たちと間宮さんは今、警察で取り調べを受けているそうだ。

 あくまで火災としての通報だけれど、実際火災は起きていない。
 事件性は低いと判断されるだろう。

 男たちだって、間宮さんが入館させたのだから、不法侵入には当たらない。
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