そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
 その日の午後も何故か間宮さんは法務部に姿を現した。

「吉永さん、ちょっとよろしいかしら」
「又、社長の呼び出しですか?」

 答えたのは飯倉さんだった。

 間宮さんは飯倉さんを一瞥すると、フンと鼻を鳴らす。

「私が吉永さんに用事があります」
「そうですか。行って良いわよ、吉永さん。だけど次のミーティングまでには帰ってきてね」
「は…い」

 間宮さんとやって来たのはオフィスにある中庭だった。社員がのんびり息抜きを出来るようにと造られた空中庭園だ。
 お昼も終わり人影はない。

 間宮さんはベンチに座ると、私に隣に座るように指示した。

「昨日はごめんなさいね」

 いきなり謝られて困惑してしまう。
 だってそうだろう。あれだけ敵意をむき出しにされたのだから。
 
 恐らく彼女は阿久津社長のことが好きなんだと思う。だからあの時、あんなに騒いだのだし、私を嫌いなんだと思う。
 幼馴染で社長秘書、いつも側にいて社長のことを一番理解しているだろうし、容姿、家柄、身につけている教養。どれを取っても完璧で、むしろ彼女以外誰が?と思う人は多いと思うから。

 そんな彼女からしたら、いきなり”うどん”でその座を奪われそうなのだ。

 そんな彼女が急に?
 気持ちが変わったとは思えいないのだけど。
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