そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
 どうして?
 思わず彼をみあげたら、とんでもないことを言い出す社長。

「僕の彼女です。近い将来結婚する予定なんです。どうぞお見知りおきを」

 もう一度軽く頭を下げた。

 ちょっと、何を言い出すの!?
 だって(仮)なのにそんな嘘ついちゃったら…。

 後々のことを考えると背筋が寒くなってくる。

 近藤夫人は眉をしかめた。

「ご両親はご存じなのかしら?」

 ほらほら、嘘だってバレちゃう。
 口から心臓が飛び出そうな程、バクバクしている。
 
 そんな私の心中を察したのか、彼は一瞬私に笑顔を向けると、再び近藤夫人に視線を戻した。

「話はしています。両親は僕の選んだ女性に文句はないと言っていますから、ご心配には及びませんよ」
「あら、そうなの。まぁ、あなたの選ぶ人なら心配はないでしょけど…」

 納得が行かないご様子の近藤夫人だ。

 私にしたって、同じこと。
 言わせてもらえれば、彼女ではありませんからと。
 どこぞの令嬢ではないのです。

「おや?涼介君」

 どうやら近藤夫人のご主人のようだ。

「近藤社長もいらしていたんですね」

 今度はやや深く彼は頭を下げた。

 さすがに彼は私の手をそっと離した。
 
 すぐに私は彼から一歩退いた。

   
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