そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
前を歩く間宮さんは重厚な扉の前に立ち、「コホン」と咳払いをした。そしてドアをノックする。
彼女はノブを回しドアを内側へ開ける。
今度は先ほどとは違い、無言で『早く入りなさいよ』ばりの視線を送ってきたから、私は深呼吸をする間も与えられず、社長室へと入ったのだった。
うわ緊張する。
「お連れしました」
「ああ」
前面ガラス張りの社長室。東京の景色をバックに、阿久津社長がデスクに座って書類に目を通していた。
社長を見るのは入社式以来だ。
Web記事など画像で見ることは何度かあったけれど、やっぱりイケメンだ。
IT業界だけあって、黒髪はラフにナチュラルマッシュをワックスで後ろに流して、前髪から覗く切れ長の瞳は涼やかだ。
書類をデスクに置くと、阿久津社長は間宮さんに「ありがとう」と声をかけると、彼女に退室を促した。
驚いたのは間宮さんだ。
「どうしてですか?」
「吉永さんと二人だけで話がしたいんだ」
「私は社長秘書として事態を見守る責任があります」
事態を見守る?
責任?
何のことやらさっぱり分からない。
「君がそうしたいのなら構わないが、後で文句は言うなよ」
間宮さんは無言で頷いた。
「突然呼び出してすまない」
社長は私の側までくると、「掛けて」ソファーを勧めてくれた。
窓際に置かれたファニチャーはシンプルで機能的なデザインだ。センスが伺われる。
社長と向かい合って座ると、彼は間宮さんにコーヒーを入れて来るように言う。
さすがに社長の前では先ほどのようなイラついた態度は見せないものの、彼女は無言で部屋を出て行く。
その姿を見送ると、阿久津社長は口を開いた。
「君、彼氏は?」
「は?」
突然、何を聞かれているのだろう?
社長が私のプライベートに興味があるとは知らなかった。
って、んなわけないよね。
彼女はノブを回しドアを内側へ開ける。
今度は先ほどとは違い、無言で『早く入りなさいよ』ばりの視線を送ってきたから、私は深呼吸をする間も与えられず、社長室へと入ったのだった。
うわ緊張する。
「お連れしました」
「ああ」
前面ガラス張りの社長室。東京の景色をバックに、阿久津社長がデスクに座って書類に目を通していた。
社長を見るのは入社式以来だ。
Web記事など画像で見ることは何度かあったけれど、やっぱりイケメンだ。
IT業界だけあって、黒髪はラフにナチュラルマッシュをワックスで後ろに流して、前髪から覗く切れ長の瞳は涼やかだ。
書類をデスクに置くと、阿久津社長は間宮さんに「ありがとう」と声をかけると、彼女に退室を促した。
驚いたのは間宮さんだ。
「どうしてですか?」
「吉永さんと二人だけで話がしたいんだ」
「私は社長秘書として事態を見守る責任があります」
事態を見守る?
責任?
何のことやらさっぱり分からない。
「君がそうしたいのなら構わないが、後で文句は言うなよ」
間宮さんは無言で頷いた。
「突然呼び出してすまない」
社長は私の側までくると、「掛けて」ソファーを勧めてくれた。
窓際に置かれたファニチャーはシンプルで機能的なデザインだ。センスが伺われる。
社長と向かい合って座ると、彼は間宮さんにコーヒーを入れて来るように言う。
さすがに社長の前では先ほどのようなイラついた態度は見せないものの、彼女は無言で部屋を出て行く。
その姿を見送ると、阿久津社長は口を開いた。
「君、彼氏は?」
「は?」
突然、何を聞かれているのだろう?
社長が私のプライベートに興味があるとは知らなかった。
って、んなわけないよね。