そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
 今日は星が近い。

 新月だからだろうか。

 静かで穏やかな空気がそこには流れていた。

 どうしよう。彼への想いが膨らむばかりで、自分を抑えられない。

「…美…里」

 暖かくて大きな手が私の頬を包む。

「濡れた瞳は、俺を狂わせそうだ」

 これが夢でも、冗談でも、遊びであっても、たとえ(仮)の存在でも私は──。

 彼の息遣いが近づいて、自然と目を閉じた。

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

 インターホンが連打された。

 あからさまに彼は肩を落とす。

「こんな時間に誰だよっ」

 涼介さんの背中を見ながら、ホッとする私がいる。
 これで良かった。
 だって、本気になってはいけない人だから。

 触れたら、後戻り出来ない気がする。

「ルナだ。今からここへ来るってさ」

 間宮さんが?

   
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