そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
 その後、三人でカフェテリアに移動したのだけれど、会話はまだまだ続いていた。

「さすが飯倉部長は気前がいいですねっ」

 ご機嫌で楓は抹茶ラテを飲む。

「ウチの部長なんて渋いですよ。こないだの飲み会だって全然出してくれないんだから。きっちり割り勘。信じられます?私たちの何倍もお給料もらってるのに」
「うふふ、赤田さんはお子さん私立小って仰ってたから、大変なのよ」
「私立ってそんなにお金かかるんですかね?」
「そうね。中学から行かせる親御さんは多いけど、小学校となると、中学の二倍はかかるかも」

 飯倉さんも小学校から私立だと教えてくれた。

「その分、親は大変だったと思うわよ」

 えっ?
 億ション買える親御さんですよ。

「若い時って、そんなにお金ないもの。だからウチは共働きだったの」

 共働きは以外だったけれど、飯倉さんの言葉に納得した。
 歳を取ると段々お給料が上がって、少しだけ余裕が出来るのも事実。
 その分、教育費がかかってくるのだけれど。
 そこは突っ込まないでおこう。

「実際、母はまだ働いてるけどね」
「すごいっ。飯倉さんがキャリアウーマンなのは、お母さまの影響なんですね」
「それもあるけど、働かないと食べていけないでしょ。老後の為に貯金もしなくちゃだし」

 飯倉さんからそんなセリフが飛び出すとは思いもしなかった。
 彼女の老後?想像できないな。

「ところで──」

 飯倉さんは私の髪に手を伸ばした。
 

< 76 / 147 >

この作品をシェア

pagetop