そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
彼女と入れ替わるように、三十代後半くらいの男性が入ってきた。
きっとこの人がカットディレクターだ。
「こんにちは、吉永様」
カットディレクターって美容院で一番偉い人だからと緊張していたけれど、にこやかに挨拶されて心が緩む気がした。
「こんにちは。よろしくお願いします」
春山と名乗ったその人は、とても気さくな人だった。
オールバックの金髪。あごひげ。一見怖そうだけれど、話すとそうでもない。
「さてと、今日はどんな髪型にする?」
「自分に何が似合うかイメージ出来なくて。お任せはダメですか?」
「いいよ。むしろその方が僕もやりやすいから」
写真とか持ち込んで、これにしてくれって言うお客さんがいるけど、あー絶対似合わない。って思う時が一番困るんだ。と春山さんは笑う。
「それっぽく切って似合わないと怒るし、似合わないからちょっと変えると写真と違うって怒る。どうしろって言うの~って感じ」
「あはは、それって困っちゃいますね」
「だからお任せが一番やりやすいわけ。髪の長さとか、色とか、ざっくりしたイメージは聞くけどね。吉永様の場合──」
春山さんは私の傷んだ髪をパラパラと指ですく。
「あのぉ」
「なに?」
「吉永様って辞めてもらっていいですか?慣れないと言うか、心地悪いって言うか」
「やっぱり、飯倉ちゃんが紹介した子だね」
きっとこの人がカットディレクターだ。
「こんにちは、吉永様」
カットディレクターって美容院で一番偉い人だからと緊張していたけれど、にこやかに挨拶されて心が緩む気がした。
「こんにちは。よろしくお願いします」
春山と名乗ったその人は、とても気さくな人だった。
オールバックの金髪。あごひげ。一見怖そうだけれど、話すとそうでもない。
「さてと、今日はどんな髪型にする?」
「自分に何が似合うかイメージ出来なくて。お任せはダメですか?」
「いいよ。むしろその方が僕もやりやすいから」
写真とか持ち込んで、これにしてくれって言うお客さんがいるけど、あー絶対似合わない。って思う時が一番困るんだ。と春山さんは笑う。
「それっぽく切って似合わないと怒るし、似合わないからちょっと変えると写真と違うって怒る。どうしろって言うの~って感じ」
「あはは、それって困っちゃいますね」
「だからお任せが一番やりやすいわけ。髪の長さとか、色とか、ざっくりしたイメージは聞くけどね。吉永様の場合──」
春山さんは私の傷んだ髪をパラパラと指ですく。
「あのぉ」
「なに?」
「吉永様って辞めてもらっていいですか?慣れないと言うか、心地悪いって言うか」
「やっぱり、飯倉ちゃんが紹介した子だね」