そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
 涼介さんも驚いてくれるかな?
 考えただけで、ウキウキしてくる。
 
 そんな期待を胸に、お会計をお願いする。
 これはこれで、違う緊張感が。改めてお財布を覗くと、しっかり一万円札が三枚入っている。これで足りなければカードで払えばいい。

「料金は飯倉ちゃんからもらってるから」

 え!?
 まさか、そんな。

「飯倉さん、どうして?」

 その答えは春山さんが教えてくれた。

「なんかね、チョコのお礼とか言ってたかなぁ」

 チョコってあの、涼介さんと一緒に買いに行った、あれ?
 だってあれはハンカチのお礼。
 お礼のお礼なんて。しかもこんな高額な。あり得ない。

「飯倉ちゃんて、プレゼント大好き人間みたいだよ。ここに来るときは必ず何か持って来てくれるわけ。ブーケとか珍しいお菓子とか。お店のみんなは大喜び」

 確かに飯倉さんってみんなに気を使ってくれる人だ。

「だから僕たちも、彼女には最高の気分で帰ってもらうために頑張っちゃうわけ」

 確かに飯倉さんは法務のみんなに優しいから、みんなも飯倉さんの為に頑張ろうって思ってる。
 すごい。人心掌握のプロ?

「でもね、僕たち物をもらってるからじゃないんだよ。みんな彼女が好きなんだ。ちょっとしたことでお互い人って態度が変わること多いでしょ。ツンツンしてるセレブより、飯倉ちゃんみたいなセレブが好きってことだよね」
 
 勉強になりました。
 今度、きちんとお礼しなくちゃ。

 私はお店を後にしたのだった。

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