情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。
「……っ、優菜ちゃん」
名前を呼ばれた。
私を“ちゃん”付けで呼ぶ人なんていたっけ……あぁ、考えるのも辛いなぁ。この人は誰なんだろう。この人はなんで屋根裏部屋にいるんだろう?
疑問がたくさん浮かんだが、優しくされて死ぬんならそれで嬉しいし……まぁ、いいか。
「迎えにきたよ……優菜ちゃん」
そう言われ、優しく撫でられ拘束されていた縄が取れて自由になった身体。
そして、ゆらゆらと何かに揺られる感覚になっていくとそこから意識はなくなってしまった――そして、次に目が覚めると埃臭い屋根裏とは違う全く知らない部屋のふわふわした感触のベッドの上にいた。
「ここ……どこ?」