情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。
「……あ、自己紹介していなかったよね。私、藤沢八尋といいます。一応は、社長をしていて君の婚約者です」
「えっ、でも社長の婚約者は愛湖じゃないんですか?」
そう、自慢ばかりしていたし。
「あの愛人の娘か。あれは、酒井家の正当な子じゃないだろ。何処の馬の骨か知れない女……いや、元一般人の後妻の子どもを妻に迎えるなんて旧財閥家である藤沢はそんなアホじゃないよ」
「は、はっきり言いますね……でも、なんで私が正当な後継ぎだと分かったんですか?」
あんなボロボロで、使用人でも下の服を着ていた私をわかるなんて。