情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。



「それに、今まで辞めて行った使用人たちは藤沢家(うち)にいるから安心してね」

「えっ、そうなんですか?」

「あぁ。気にすることは何もない。だからな、今は、元気になることを考えなさい」



 そう言われてすぐにご飯がやってきた。まだ、卵のおかゆだけだったけどそれはとても美味しかった。

 それから数日後、良い睡眠と栄養ある一日三食の食事のおかげで元気になると部屋にあるお風呂に入れることになる。
 久しぶりのお風呂は気持ちよくてリラックスできたがこの、身体中の傷痕は、初めて鏡で見た。消えないだろう痕を彼に見られたら――私はきっと捨てられてしまうんだろうなとただただ悲しくなった。




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