情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。
トレーには、フォカッチャのフレンチトーストにミックスリーフのグリーンサラダにはトマトと胡瓜、ゆで卵をトッピングされていた。そして、厚切りベーコンとカブのゴロゴロ具材のポトフ。胡瓜とブロッコリーのサラダにヨーグルトが乗っている。
「うちの自慢の料理人の朝食だ。召し上がってくれ……あ、フレンチトーストのトッピングは何がいい? アイスに生クリームに蜂蜜。なんでもあるよ」
「えっと……じゃあ、蜂蜜で」
「オッケー」
彼は蜂蜜の容器を取り蜂蜜をかけてくれて、私はナイフとフォークを手に取ると一口サイズにして口に入れた。
「え……これって、え?」
「気づいた? 早いね」
「で、でも。ここにいるはずが……」
ふと思い出す。料理長は、自分の部下だと言っていた。私を陰で見守っていたと……ということは、料理長がいてもおかしくはない。
そんなことを考えていると食堂にコック服を着ている男性で、よくしてくれた料理長がいた。