情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。
八尋さんのお父様



 ――夢を見た。


 まだ、お母様が生きていて当主をしていた頃。

 私は、よく偉い人たちに挨拶したりさせられていた。特に会っていたのは、名前は忘れちゃったけどお髭の似合うおじさんと紺色のジャケットを羽織っていた男の子。


『……いい? 優菜。貴女は正当な酒井の後継者なのよ。これは、その証。だけど、当主になるまで正式書類は、この人たちに預かってもらうからね』

『はい。お母様……分かりました』

『うん、いい子。きっと、貴女は大丈夫ね』


 そんな夢で、なんでか、彼らの表情を見ることは出来なかった。






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