情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。



「……そうだ、優菜ちゃん。今日、時間あるかな? 予定ない?」

「はい。大丈夫です」


 まぁ、この屋敷に来て何にもしていないから時間はたっぷりと余ってしまうくらいある。


「良かった。今日、父が帰ってくるんだ。同席して欲しい」

「……っえ、でも、私」


 八尋さんのお父様って、今は隠居しているらしいけど藤沢財閥家の総帥だった人だ。

 そんなすごい人に会うの!?



「安心してよ。普通にそこら辺にいるおじいさんだよ。」

「そう言えるのは、八尋さんだけだと思いますっ」


 だって、今は八尋さんが社長も総帥もしているけど……権力はまだ強く持つって聞いたことある。


「まぁ、そうか。でもね、大丈夫だよ。父が君と会いたいと言ったんだから」

「えっ」


 それは、相応しくない!と言われるのではないかと思ってしまったが彼は全く気にしていないようでいつも通りだった。




< 31 / 61 >

この作品をシェア

pagetop