情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。
車に乗り込んで三十分ほどでパーティーの会場に到着する。
「予定通り、彼らを招待しておいたから。三人とも出席するって」
「ありがとうございます、八尋さん。面倒なこと頼んでしまって……」
私が頼んだのはお父様にお継母様、愛湖をこのパーティーに招待することだ。
「優菜ちゃんがそんな直接対決みたいなことしなくてもいいのに」
「そうですけど、でも、これは私自身が向き合わないといけないことですし。だって八尋さんがそばにいてくださるでしょう?」
「もちろんだよ、君は強くて逞しいな」
「そうでもないですよ。だって私、あそこを出るまで家を取り返すなんて考えもしなかったから」
八尋さんが迎えにきてくれなかったら、私は、酒井家でずっと虐げられていたと思う。ずっとずっと、利用されながら。
「さて、行こうか。優菜ちゃん」
「はい。いざ、出陣ですね」
私は八尋さんのエスコートで会場へと向かった。