情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。



「――皆様のご健勝とご発展を祈念するとともに、今後とも変わらぬご支援のほどお願い申し上げ、私からの挨拶といたします」


 貫禄があり、丁寧な挨拶を聞くと八尋さんとステージへ登壇した。



「えー……この度、息子である八尋が結婚したことを報告致します。お相手は旧華族の酒井家、歴史ある酒蔵・酒井のご令嬢の酒井優菜さん」


 名前を呼ばれて礼をすると会場で「酒井って……前女当主で有名だったあの?」と呟く声が聞こえてくる。


「未熟者ではございますが、八尋さんをお支えしていきたいと思っております」


 私はそうマイクを通して言うと、八尋さんを見つめた。すると、微笑み返してくれて安心した。

 会場を見渡すと叫び声が聞こえてきた。




「……なんで、あんたがっ! あんたが結婚相手なのよ!?」


 その声の主は、招待状を出してもらった本人である愛湖だ。









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