情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。
おしまい
突然、会場に響き渡った大きな声。
それは注目するには十分なヒステリックな声だった。
「なんで、お父様にも愛されていないあんたがイケメン社長と結婚できるのよ!」
愛湖は、以前と同じく八尋さんのことを“イケメン社長”と言い私に向かって叫んだ。
だから私はこの場所から、彼女に説いた。
「この会場には業界のお偉い方々や政治家、芸能関係の方々が集まっているのよ。愛湖の行動は、家では通用してもここでは非常識ではないかしら」
「……っな、何を偉そうに! お父様がいなくちゃ何もできないくせに! どうせ、媚を売ったんでしょ!?」
「媚って……媚び売るほど、私は暇ではなかったわ。というか、彼が迎えに来てくれるまでは会っていないし」
「……なっ! あんたなんか可愛くも美人でもないくせに!」
彼女は、この場には相応しくないピンクのレースのお姫様系ドレスを着ていてまるで自分が主役だと言っているようなものだ。それを可愛いと思っているのか、彼女自身は堂々としている。
容姿は関係ないと思うのだけど。