長い四日間
⭐︎三日前⭐︎

小林さん、もう夜ですよ

「死ぬ。死ぬ。」

8時で、ご家族の面会の時間、終わりですからね。

「死ぬ。やだ」

「貴美子、わがままを言わないの」

「わがままじゃ無いもん。みんな悪い。点滴だって、腕に入らないし。腕だってむくし。左腕、こんなに太い」

「小林さん、明日は点滴うまく頑張りましょうね。」

「すみません」

「お母さんは、謝らなくていいの」

「…貴美子、みんなそろそろ休む時間よ。お母さんだって帰らなきゃいけないし。」

「眠剤、処方してもらいます?」

「あの、みんなこんなにわがままなんでしょうか? うちの貴美子だけ…」

「そんな事ありませんよ。入って来た時は皆、極限状態。混乱して当たり前です。むしろ大人しい方のほうが珍しいというか」

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