もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

20 謁見

 七回目の人生では、キアラは初めてのことばかりで驚きの連続だった。
 特にダミアーノとの婚約解消とレオナルドとの婚約は、彼女にとって嵐のように大きな変化だった。

 これで、やっと一歩前へ進める。

 婚約解消の手続きはレオナルドが彼女の前へ立ってくれて、無事に完了した。
 おかげでダミアーノとは顔を合わせずに済んで心からほっとした。
 プライドの高い彼のことだから、きっと激高して問いつめて、暴言を吐いて、極限まで攻撃して来るだろう。

 そして、力を得た今の自身は、おそらく反撃する。その時に誤って魔女のマナを発動してしまうかもしれない。
 仮にそうなったら、瞬く間に皇太子側が不利になる。
 新しい婚約者には、迷惑を掛けたくないと思っていた。

「キアラ嬢、今日はとても綺麗だ」

 ……この、キラキラした顔で甘い言葉を掛けてくる婚約者には。
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