もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜





「ほら、来ましたわよ!」

「よくも顔を出せたわね」

「公爵令息の次は皇太子だなんて、なんて品のない!」

「厚かましい女よね…」

 キアラがお茶会の会場へ入るなり、たちまち令嬢たちの注目の的となった。瞬く間に視線が彼女の全身に突き刺さる。そのほとんどが軽蔑や疑惑の目だった。

 今日は令嬢のみ参加の交流会だ。若い貴族たちにも派閥を越えた繋がりを……と、年に一度行われている大規模なお茶会である。
 ここには、皇都に住まうほぼ全ての貴族令嬢たちが来ていた。

(あの令嬢たちは……ミア子爵令嬢と仲がいい方たちね。分かりやすいこと)

 キアラは令嬢たちを冷めた目で見る。
 彼女たちは楽しそうに陰口を叩くくせに、キアラが近付くと黙り込んで、遠ざかると再び根拠のない悪口に花を咲かせていた。

「あの女は尻軽よ。ずっとダミアーノ様が大切にしてくださっていたのに、皇太子が現れるとすんなり乗り換えて。……ここだけの話、噂によると今は別の男に乗り換えたらしいわ」

「まぁっ!」

「なんてことかしら!」

「ほら、あの女はダミアーノ様との婚約期間から皇太子と肉体関係があったでしょう? ……一人の男だけじゃ体が満足しないらしいわ」

「まぁ……」

「最っ低! 汚らわしい!」

「あんなのが次期皇太子妃だなんて……。帝国はどうなるのかしら?」

「ねーっ!」

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