もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

26 大スキャンダル

 スキャンダルには更に大きなスキャンダルを。
 ……これが、今回キアラが考えた作戦だった。皇后が数より大きさだと言及していたからだ。

 生真面目なレオナルドは最初はフェアじゃないと意を唱えたが、皇后派閥の力を削ぎ落とす絶好の機会でもあるとキアラに説得をされ、今回の企てを了承したのだった。

 彼としては、過去六回と同じく正々堂々と戦いたかったらしい。
 しかし、そうは言うものの、過去六回とも愚直に正面からぶつかった結果、皇后に負け続けていたのだということは痛いほど分かっていた。

 それに、可愛い婚約者の意思は可能な限り尊重したかった。
 生暖かい目のアルビーノ侯爵の視線を感じて、俺はいつの間にこんなに甘くなったのだろう……と彼は密かに苦笑した。

 アンドレア第二皇子はスキャンダルの宝庫だった。主に女性関係で。
 その他にも莫大な財産を散財して夜な夜な遊び歩いていたり、帝国法で禁止されているような事柄にも手を出して、更には裏社会とも密な繋がりがあった。

 だから、ちょっとのスキャンダルでは社交界も動じないのだが……。


(それが、身分も低く財産も後ろ盾もない地方の子爵令嬢と婚姻すると、公の場で宣言をしたら?)

 皇帝は勿論、皇后の許可も取らずに単独で。皇族側に、なんのメリットもない令嬢と。

 キアラの唇が、弧を描いて笑った。

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