もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜
28 婚約宣言の原因
「この馬鹿者がっ!!」
執務室に皇后ヴィットリーアの怒声が鳴り響いた。さっきからずっと緊迫した空気で張り詰めている。
執務机には恐ろしく目の吊り上がった皇后、そして彼女の前には縮こまったダミアーノ・ヴィッツィオ公爵令息が頼りなく立ち竦んでいた。
「はぁ〜〜〜」
もう何度目かも分からない皇后の深いため息。そして激しい痛みでもあるかのように、大仰に頭を抱える。
いや、実際に彼女にはザクザクと突き刺すような頭痛が襲っていた。比例して、心臓もどくどくと激しく波打つ。
議会の途中――もう少しで皇太子に致命傷が与えられそうなところで、最愛の息子の特大スキャンダルの報告である。
アンドレアは多くの浮き名は流してきたが、奇跡的にも致命的な事件は起こしていなかった。
少しばかりヘマをすることもあったが、全てが皇后の権力でもみ消せる程度のものだ。
なので、今回の皇太子が公爵令息の婚約者を不貞略奪したしたという大スキャンダルはレオナルドを引きずり下ろす絶好の機会だったのだが――……。
(なんの後ろ盾もない田舎の貧乏子爵令嬢と、公の場で婚約宣言をしただと……!?)
可愛い息子は、それ以上のスキャンダルを持ち込んだのだった。
執務室に皇后ヴィットリーアの怒声が鳴り響いた。さっきからずっと緊迫した空気で張り詰めている。
執務机には恐ろしく目の吊り上がった皇后、そして彼女の前には縮こまったダミアーノ・ヴィッツィオ公爵令息が頼りなく立ち竦んでいた。
「はぁ〜〜〜」
もう何度目かも分からない皇后の深いため息。そして激しい痛みでもあるかのように、大仰に頭を抱える。
いや、実際に彼女にはザクザクと突き刺すような頭痛が襲っていた。比例して、心臓もどくどくと激しく波打つ。
議会の途中――もう少しで皇太子に致命傷が与えられそうなところで、最愛の息子の特大スキャンダルの報告である。
アンドレアは多くの浮き名は流してきたが、奇跡的にも致命的な事件は起こしていなかった。
少しばかりヘマをすることもあったが、全てが皇后の権力でもみ消せる程度のものだ。
なので、今回の皇太子が公爵令息の婚約者を不貞略奪したしたという大スキャンダルはレオナルドを引きずり下ろす絶好の機会だったのだが――……。
(なんの後ろ盾もない田舎の貧乏子爵令嬢と、公の場で婚約宣言をしただと……!?)
可愛い息子は、それ以上のスキャンダルを持ち込んだのだった。