もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

 そして、それ以上に悩ましいことが一つ。
 アンドレアもマルティーナも、魔道具の効力が切れないのだ。

 魔女のマナは、禁忌とされている魔導書を参照に作り出したものだ。それは、皇族の中でも中心となる位の者しか立ち入りのできない場所に厳重に保管してある。

 計画は長い年月を掛けてで水面下で動き、本物のマナにかなり近い状態まで開発できた。
 毒薬を作る薬師は、同時に解毒剤も作成する。誤って作用したの場合の保険のためだ。あるいは交渉の一つとして。

 なので、魔法を解除する魔道具も、当然同時に開発していた。それらは何度も何度もテストして、無事に完成させた。それが効かないなんて、あり得ない。

(二人は魔道具関係なしに愛し合っているということなのか……?)

 だが、二人に愛を積み重ねた事実などない。あの日――今となっては忌々しいお茶会で初対面だった。調査の結果、過去に二人が出会ったこともなかった。
 ならば、互いに一目惚れということ? それにしては、愛が重すぎる。

 皇后は殿方を本気で愛したことなどなかった。
 皇帝とは地位と権力を目当てに婚姻を結んだし、令嬢時代も恋人など作ったことはなかったし、むしろ誰と婚約をすれば一番得かしか頭の中になかった。

 果たして、初対面の男女がすぐに婚姻を考えるほどの、身を焦がすような恋をするのだろうか。
 ましてや子爵令嬢は、息子の好みのタイプとはかけ離れているのに。
< 142 / 221 >

この作品をシェア

pagetop