もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜






 第二皇子アンドレアにかかった魅了魔法は、ある日突然プツリと途切れた。
 それは意外にも、呆気なく、脆かった。あれほどの熱情は、一瞬でどこかへ吹き飛んでしまったのだ。

 アンドレア本人も、なぜあのような田舎くさい令嬢に一目惚れをしたのだろうと不思議で仕方なかった。まるで何か得体の知れない熱に浮かされていたみたいだ。

 しかも、あんな冴えない娘と公衆の面前で婚約宣言をしたという事実。
 あの日のことを思い起こすと、暗澹たる気分になった。魅了魔法の話を聞くと、絶望した気分になった。
 もう、女とは関わりたくないと思った。

 皇后はこの急激な変化を不審に思って、早速研究者たちに調査をさせた。
 だが、結果は今回も原因不明。おそらく第二皇子は魔女のマナの耐性が他の人間より低く、魔道具でも解消できないくらいに深く影響を受けていたのだろう。
 ――彼らはそう結論付けた。
 
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