もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

 レオナルドは軽く息を吐いて気持ちを落ち着かせると、皇太子の顔で領主を見た。

「見たところ復興は順調なようだが、なにか困っていることはないか? 私でよければ喜んで協力しよう」

「ありがとうございます、殿下」領主は恭しく頭を下げる。「殿下とリグリーア伯爵令嬢のご尽力で、復興作業は滞りなく進んでおります。食糧をはじめとする物資も十二分にいただいております。
 ですので、もし東部の街が完全に復旧したら是非伯爵令嬢とご一緒にいらしてください。()()()()に!」

 領主は先程の皇太子と側近の会話を見逃さなかった。あの英雄である皇太子に、このような年相応の顔があるとは。

 レオナルドは目を白黒させ、アルヴィーノ侯爵はプッと吹き出した。すぐさま主にギロリと睨まれて、さっと目を逸らす。その様子を領主は目を細めて眺めていた。

 数拍して、

「ま、前向きに考えておこう……」

 ほんのり顔を赤くした皇太子が、ぎこちなく顔を背けながらボソリと答えた。

「はい。是非お待ちしております!」


「領主様、大変です!」

 その時、ドンと勢いよく扉が開いて、領主の側近が飛び込んで来た。和やかな空気が一気に冷える。

「殿下の御前で無礼だぞ。どうした?」

「まっ……魔獣です! 魔獣の大群が街外れにっ……!」

「何だって!?」


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