もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜
35 愛しいひと ※血などの残酷な描写あり
「アンドレア様っ……!」
鈍色の世界が一瞬で七色に彩り、マルティーナの周囲が明るく照らされる。
そのきらびやかな世界の中心にいる愛しい愛しい人のもとへ、彼女は一目散に駆け出した。嬉しさで鼓動が速くなって、顔が火照る。
「もうっ、本当にお会いしたかったのですよ! 全然ご連絡をいただけませんし、監視が厳しくて、こちらからも何もできなくて……。王宮で軟禁されていると聞き及んで、とても心配しておりました。あなたがご無事で良かったですわ! ご連絡をくださったら、今日はご一緒に参加できましたのに」
彼女は堰を切ったように早口で捲し立てる。久し振りに再会した恋人に、話したいことが沢山あった。
彼と視線が交じるたびに、胸の奥から喜びが湧き上がって来る。あの瞳、あの鼻、あの口……全てが愛おしい。
本物の恋というのは、こういうことなのね。
さぁ、早く抱きしめてキスをして!
……しかし、すっかり舞い上がっている彼女は、第二皇子の冷ややかな視線には気付いていなかった。
独りよがりのお喋りは、止まらない。
「おまけに、好いてもいない公爵令息なんかと結婚させられてしまいましたわ! 本当に最悪。公爵家とは名ばかりで、貧乏で陰気臭くて、ダミアーノは偉そうだし。早く皇子妃として王宮で暮らしたぁい!」
第二皇子は沈黙を続けている。わたしと会えた感動で言葉も出ないのかしら、と彼女は彼を可愛く思ってくすりと笑った。
鈍色の世界が一瞬で七色に彩り、マルティーナの周囲が明るく照らされる。
そのきらびやかな世界の中心にいる愛しい愛しい人のもとへ、彼女は一目散に駆け出した。嬉しさで鼓動が速くなって、顔が火照る。
「もうっ、本当にお会いしたかったのですよ! 全然ご連絡をいただけませんし、監視が厳しくて、こちらからも何もできなくて……。王宮で軟禁されていると聞き及んで、とても心配しておりました。あなたがご無事で良かったですわ! ご連絡をくださったら、今日はご一緒に参加できましたのに」
彼女は堰を切ったように早口で捲し立てる。久し振りに再会した恋人に、話したいことが沢山あった。
彼と視線が交じるたびに、胸の奥から喜びが湧き上がって来る。あの瞳、あの鼻、あの口……全てが愛おしい。
本物の恋というのは、こういうことなのね。
さぁ、早く抱きしめてキスをして!
……しかし、すっかり舞い上がっている彼女は、第二皇子の冷ややかな視線には気付いていなかった。
独りよがりのお喋りは、止まらない。
「おまけに、好いてもいない公爵令息なんかと結婚させられてしまいましたわ! 本当に最悪。公爵家とは名ばかりで、貧乏で陰気臭くて、ダミアーノは偉そうだし。早く皇子妃として王宮で暮らしたぁい!」
第二皇子は沈黙を続けている。わたしと会えた感動で言葉も出ないのかしら、と彼女は彼を可愛く思ってくすりと笑った。